この記事のPOINT
こんな人におすすめ
  • 減価償却がそもそもどういったものか知りたい
  • どういったときに減価償却する必要があるか知りたい
  • 自分で減価償却を計算してみたい
こんなことがわかります
  • 減価償却はどういったときに必要か
  • 減価償却の具体的な計算例
  • 減価償却で節税する方法

不動産売却をする上で、「減価償却」という言葉を耳にすると思いますが、

  • 言葉の意味
  • 計算方法
  • 不動産売却との関係性

など、理解しづらい部分が多いのではないのでしょうか。この記事では、不動産を取り扱う上で知っておきたい減価償却の基礎知識や、計算方法、減価償却費を計算する上での注意点について紹介していきます。

【関連記事】
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不動産売却時に知っておきたい減価償却の基礎知識

不動産の減価償却を理解するためには、まずは減価償却について理解しなければなりません。

減価償却とは

減価償却とは、減価償却資産を取得した際に、取得費用(購入金額)を一定年数に分けて経費として計上するために用いられる計算方法です。

用語チェック
減価償却資産
事業者が用いる、時間と共に価値が無くなっていく取得時の購入価格が10万円以上の資産

例えばですが1000万円の減価償却資産を取得した場合、250万円を4年に分けて経費として計上する場合をイメージするとわかりやすいかもしれません。

1000万円は4年かけて原価償却する

参照:「No.2100 減価償却のあらまし|所得税|国税庁

減価償却の対象は建物であり土地は対象外

不動産の減価償却を計算するにあたり、土地と建物を分けて考える必要があります。これは減価償却資産が時間と共に価値が無くなっていくものを対象としているためです。土地は時と共に価値が変動しないため減価償却の対象外であり、建物の取得費用だけを対象に減価償却費を計算することになります。

そのため不動産の購入価格には、建物と土地の値段が含まれているため、建物の値段を別途で算出することが必要です。また、建物本体と、建物に付随する設備(電気設備や給排水設備)の減価償却費は分けて計算しますが、建物の取得費用には設備の取得費用も含まれているので、建物本体の取得費用と、設備の取得費用を別途で計算しなければなりません。

建物本体と建物設備の取得費用を計算するにあたり、不動産会社にて譲渡対価証明書を発行してもらう必要がありますが、詳しくは購入時に利用した不動産会社へ確認してみましょう。

減価償却の計算が必要な場合とは?

ではどのような場合に減価償却の計算が必要なのでしょうか。

不動産収入がある場合

不動産の減価償却を計算する必要がある方は、不動産売買やアパート・マンションなどの賃貸経営によって不動産収入がある方です。所得税を納める際に、不動産収入は所得として計上しなければなりませんが、減価償却は経費として計上されます。

不動産売却をする場合

不動産売却をする場合、不動産譲渡所得を計算しなければなりません。不動産譲渡所得とは、不動産売却によって発生した所得を計算する方法になりますが、その際に減価償却の計算が必要になります。不動産譲渡所得ついて詳しくは、「不動産売却の税金の計算方法と控除を受けるための必要な知識」を参考にしてください。

この章の重要ポイントまとめ
  • 減価償却は建物のみで土地は対象外
  • 不動産収入や不動産を売却するときに減価償却は必要

不動産にかかる減価償却費の計算の流れ

では、不動産にかかる減価償却の計算方法を説明していきます。減価償却を計算するためには、取得費耐用年数償却率を求める必要がありますが、それぞれの計算方法について確認していきましょう。

取得費の計算

先ほどお伝えした通り、土地は減価償却の対象外であるため、不動産の減価償却を計算するにあたり、建物と土地の取得費(購入価格)を分ける必要があります。売買契約書に土地、建物の金額が記載されていれば契約書通りの金額を用いて問題ありませんが、記載されていない場合は、固定資産税評価額を元に分けて計算しなければなりません。

売買契約書に土地・建物の金額が記載されていない場合

固定資産税評価額を元に、土地、建物の取得費の計算方法を、例を用いて説明していきますが、以下の状況を想定してください。

  • 不動産の購入金額:5千万円
  • 不動産の固定資産税評価額:4千万円
  • 建物の固定資産税評価額:2,500万円
  • 土地の固定資産税評価額:1,500万円
  • 工事費の割合:建物60%・建物設備40%

この場合の建物の取得費は、5千万円×(2,500万円/4,000万円)=3,125万円です。また、建物本体の取得費用と建物の設備の取得費用をそれぞれ計算する必要がありますが、契約書に記載されていない場合は、工事費の割合を元に計算していきます。

今回のケースでは工事費の割合は、建物が60%に対して設備が40%であるため、建物本体の取得費は、3,125万円×60%=1,875万円、建物設備の取得費は、3,125万円×40%=1,250万円です。

参考:取得費となるもの|国税庁

耐用年数の計算

取得費用を計算したら今度は、不動産の耐用年数を算出します。耐用年数を計算するためには、「耐用年数(建物・建物附属設備)|国税庁」から対象の不動産の法定耐用年数を確認する必要がありますが、主な法定耐用年数は以下の通りです。

<法定耐用年数>

  • 鉄骨鉄筋コンクリート:47年
  • れんが造:38年
  • 木造:22年
  • 建物設備:15年

法定耐用年数を確認したら、耐用年数の計算をしますが、築年数によって耐用年数の計算方法は異なります。

築年数が法定耐用年数を全て経過した場合

築年数が法定耐用年数を経過した場合、以下の計算式によって耐用年数を求めます。

耐用年数=法定耐用年数×0.2(端数切り捨て)

木造建築の場合、法定耐用年数は22年であるため、築22年以上の木造建築の場合の耐用年数は、22×0.2=4年です。

築年数が耐用年数を全て経過していない場合

反対に築年数が耐用年数を超えていない場合は、以下の計算式で耐用年数を求めてください。

耐用年数=(法定耐用年数-築年数)+築年数×0.2(端数切り捨て)

木造建築(耐用年数22年)、築16年の不動産の場合の耐用年数は、(22-16) +16×0.2=9年になります。新築の場合、上記の計算式の築年数に0年を代入するため、耐用年数と法廷耐用年数は同じです。

償却率の確認

次に、耐用年数を元に「減価償却資産の償却率表|国税庁」から償却率を調べてください。償却率を確認する際に、気を付けて欲しい点は、不動産の取得日が平成19年4月1日以降か、平成19年3月31日以前かです。

取得日によって耐用年数は異なる

取得日が平成19年4月1日前後で表の見る箇所と償却率は異なりますが、耐用年数が9年の場合の償却率は、取得日が平成19年4月1日以降の場合は0.112、取得日が平成19年3月31日以前の場合は0.111になります。また、耐用年数が22年の場合の償却率はどちらとも0.046です。

※償却率は、定額法、定率法の二つに分かれますが、一般的には定額法が適用されるケースが多いため(不動産の場合は特に)、当記事では、定額法で話を進めていきます。

減価償却費の計算

建物の取得価格、償却率が求まったら、今度は減価償却費を計算しますが、減価償却費は以下の計算式によって求めることができます。

  • 定額法:建物の取得価格×償却率
  • 定率法:(建物の取得価格-前年度までの償却費の総額)×償却率

建物の減価償却を計算するためには、建物本体、建物設備の取得費用を別々に計算することが必要ですが、建物本体の減価償却の計算は定額法が適用される一方、定率法は適用することはできません。建物設備に関しては、定額法、定率法の双方が適用されますが、定率法を適用させるためには、届出を提出する必要があるため、一般的には定額法が用いられます。

定率法を適用させるためには

ここで簡単に定率法と定額法の違いについて触れますが、定額法は、毎年の減価償却費が一定であることが特徴です。それに対して、定率法は、取得年の減価償却費が高くなりますが、年々、減価償却費が下がっていく特徴があります。

そのため、取得年に多くの経費を計上したい方は、定率法を適用させるといいかもしれません。定率法を適用させるためには、確定申告の際に、申出書を添付して提出する必要がありますが、申出書は「減価償却資産の償却方法|国税庁」からダウンロードしてください。

参照:「定額法と定率法による減価償却|国税庁

計算例

では、以下の条件を元に減価償却を計算していきましょう。

  • 不動産の購入金額:5千万円
  • 不動産の固定資産税評価額:4千万円
  • 建物の固定資産税評価額:2,500万円
  • 土地の固定資産税評価額:1,500万円
  • 工事費の割合:建物60%・建物設備40%
  • 建物構造:木造建築
  • 築年数:16年

取得費用に関しては、「取得費の計算」で紹介した例と不動産価格が同じなため、建物本体の取得費用は1,875万円、建物設備は1,250万円です。建物本体の耐用年数は、木造建築であるため法定耐用年数は22年、築年数が16年のため、(22-16) +16×0.2=9年になります。

また、建物設備の法定耐用年数は15年になりますが、築年数が法定耐用年数を超えているため、建物設備の耐用年数は15×0.2=3年です。

よって取得日を平成19年4月1日以降とすると、建物本体の償却率は0.112、建物設備の償却率は0.334になるため、減価償却は建物本体が1,875万円×0.112=210万円、建物設備が1,250万円×0.334=417万5千円となり、総額で627万5千円になります。

この章の重要ポイントまとめ
  • 減価償却は取得費・耐用年数・償却率を用いて計算する
  • 取得費は建物本体建物の設備別々に計算する
  • 減価償却は定額法を用いるのが一般的

不動産の減価償却費を少しでも多く計上する方法と注意点

では、最後に減価償却費を少しでも多くするための方法や、減価償却について気を付けておきたい点について確認していきましょう。

減価償却費を多く計上するためには?

減価償却費は経費として計上するため、少しで高く計上できた方が、節税対策になります。

建物価格の割合を高くする

減価償却費を多くするためには、まずは土地価格に対して建物価格の占める割合の高い不動産を選ぶことです。先ほどお伝えした通り、土地の価格は減価償却の対象に含まれないため、建物の価格が高いほど減価償却は高くなります。しかし、建物は年数と共に劣化するため、それに伴い建物価値は下がっていきます。

売却価格は土地の価格に近づいていくため、建物の金額を高くするほど売却価格は低くなる点には気を付けましょう。もし、建物価格を高くしたいのであれば、不動産を購入する際に、売主と相談してください。

耐用年数が短い不動産

また、耐用年数の短い不動産ほど償却率が低くなりますが、償却率は低くなるほど減価償却は高くなります。そのため、耐用年数の短い不動産を選ぶことも、減価償却費を高くする方法になりますが、耐用年数が短いほど劣化しやすく、売却価格が下がりやすい点に気をつけなければなりません。

そのため耐用年数が短い不動産を高く売却するために、購入から売却までの期間を短くするのも一つの手です。しかし、短期売却は売却時に課せられる所得税が高く課せられやすくなるので注意が必要です。

減価償却費は月単位で換算する

減価償却費は、年間ごとに計上しますが、月単位で換算しなければなりません。例えばですが、6月末に不動産を購入した場合、その年の減価償却費は、1年分の減価償却費×6ヶ月/12ヶ月として計算します。

まとめ

以上が不動産に関する減価償却の説明になります。減価償却の計算は色々とわかりづらい面がありますが、少しでも当記事をお読みになった方のご理解に繋がれば幸いです。

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