一般媒介契約書(いっぱんばいかいけいやくしょ)とは、不動産会社に売却の仲介(=ばいかい)を一般媒介で依頼する際に記載する契約書です。

不動産を売却することは一生の内何度も経験することは無く、一般媒介契約という契約形態含め一般媒介契約書について知らない方が多いのではないでしょうか。

そのため「一般媒介契約書とはなんなのだろうか」「一般媒介契約書を記載する際の注意点は何があるのだろうか」など、疑問点も多いことと思います。

そこで今回は、一般媒介契約書の基礎知識と、一般媒介契約を締結する前と締結する際の注意点を記載したいと思います。

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媒介契約の基礎知識

不動産の売却を不動産会社に依頼した際には、必ず媒介契約を結びます。媒介契約では、不動産の売却を仲介する際の不動産会社の活動内容や負うべき義務、仲介手数料等を規定します。

ここでは、媒介契約が何かをまず確認しておきましょう。

媒介契約は何のために結ぶのか

媒介契約を行う目的は、不動産会社が媒介報酬、つまり仲介料の請求を確実に行うことが出来るようにするためです。

不動産会社が仲介手数料の支払いを売主から得るには以下の4つの条件が必要です。

  1. 宅地建物取引業の免許業者であること
  2. 不動産会社と売主との間で媒介契約が成立していること
  3. 不動産会社が媒介業務を行ったこと
  4. その媒介業務により売買契約が成立したこと

不動産業者の売り上げは主に売買契約が成立した際の仲介手数料ですが、売主から仲介手数料を確実に得るために、媒介契約書に売買が成立した際の仲介手数料を取り決めて売主と媒介契約を行います。

媒介契約には標準媒介約款がある

一般媒介契約だけに限らず、専任媒介契約、専属専任媒介契約においても、宅地建物取引業法第34条の2」により媒介契約内容の具体的な規定が設けられています。

さらに国土交通省は、不動産の売買における保護者が不当に不利益を被ることを避けるため「標準媒介契約約款」を作成し、媒介契約における一般的な契約条項を普及させています。

この標準媒介契約約款国土交通省は、宅地建物取引業法の解釈や運用に関してのガイドラインである「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」において、以下のように言及し媒介契約の際には「標準媒介契約約款」を使用することを義務付けています。

媒介契約制度の的確な運用を図るため、宅地建物取引業者間の大量取引における販売提携、販売受託等の特殊な事情のあるものを除き、標準媒介契約約款を使用することとする。

引用: 国土交通省|宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方

3種類の媒介契約それぞれの特徴

媒介契約には「一般媒介契約」の他に「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」があります。それぞれの特徴を以下の一覧にて記載しておきます。

表:媒介契約の比較一覧

  一般媒介契約 専任媒介契約 専属専任媒介契約
契約できる不動産会社数 いくつでも可 1社のみ 1社のみ
契約外の不動産会社での仲介 営業経費を支払うことで可能 違約金が発生 違約金が発生
売主が自身で買主を探しての制約 可能 営業経費を支払うことで可能 違約金が発生
売主への状況報告義務 無し 2週間に1回以上 1週間に1回以上
指定流通機構「レインズ(後述)」への登録義務 なし(ただし任意で登録が可能) 契約締結から7日以内 契約締結から5日以内
契約期間 無制限(行政の指導では3ヵ月以内) 3ヵ月以内 3ヵ月以内

【関連記事】
専任媒介とは|契約形態や解約の注意点など基礎知識まとめ
専属専任媒介契約の基礎知識|専属専任媒介契約の特徴と注意点まとめ

一般媒介契約書のサンプル

媒介契約書は、一般媒介契約書と専任媒介契約書、専属媒介契約書により定められる内容が違います。

不動産会社と媒介契約を行う際には、以下に記載する内容等に注意しながら質問等を行い、契約内容を十分に把握した上で契約を行うようにして下さい。

ここでは、一般媒介契約書のサンプルをリンクにて記載しておきます。

一般媒介契約は正式に不動産会社に仲介の依頼を行った際に締結しますが、事前にサンプルを見ておくことで一般媒介契約書がどのようなものかおおよその全体像がつかめるかと思います。

一般媒介契約書サンプル

引用元:公益社団法人 京都府宅地建物取扱業協会

媒介契約を締結する前に確認するべき点

一般媒介契約だけに限りませんが、媒介契約を行う前には以下のような点については必ず確認を行うことをおすすめします。

宣伝活動の内容

不動産が売却されるか否かは不動産会社の宣伝活動によります。

行われると思っていた活動が行われなかった場合には売却時期が大きく遅れてしまう可能性や、最終的に値下げを行って販売しなければならない可能性もあります。

どのような媒体を用いて宣伝を行うのか、自社の顧客への紹介はどのような手順で行うのか、他の不動産会社と連携は行うのかなどを確認しておくと良いでしょう。

売主の希望

不動産会社の広告活動は売主の希望により戦略が決まりますので、媒介契約締結前にご自身の希望は不動産会社にしっかりと伝えておきましょう。

具体的には売却の時期、売却価格、宣伝活動の方法などを不動産会社に伝えるようにして下さい。

場合により希望する条件では売却や宣伝活動が困難な場合も考えられますので、そのような場合には不動産会社と協議を行うようにして下さい。

仲介手数料

仲介手数料は売買契約が成立した際に、不動産会社に支払うものですが法律により以下の通り上限が設定されています。

売却価格 仲介手数料の上限額
売買価格が200万円以下 売却価格×5%+税
売買価格が200万円以上〜400万円以下 売却価格×4%+2万円+税
売買価格が400万円以上 売却価格×3%+6万円+税

参考:国土交通省|宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

仲介手数料は法律の上限とすることがならわしとなっていますが、場合により下げることも可能です。一度不動産会社と交渉してみるのが良いでしょう。

また法律の上限以上の仲介手数料を提示する不動産会社もいますが、そのような不動産会社には仲介の依頼を行わないのが良いでしょう。

一般媒介契約書を締結する際に注意するべき点


不動産会社の広告活動は一般媒介契約書で締結した内容を基に行われます。

事前に注意を怠ったことで思わぬ不利益を被ってしまう可能性も考えられますので、事前に以下の内容について注意するようにして下さい。

標準約款に基づいているか

国土交通省では、不動産会社に対し媒介契約を締結する際には標準約款を基に行うよう義務付けています。

標準約款に基づいている場合、サンプルのように一般媒介契約書の1ページ目に標準約款に基づく旨が記載されていることが一般的です。

標準約款に基づく場合には、実際に標準約款と比較を行い漏れなどがないか確認を行ってください。もし標準約款に基づかない場合はその理由を確認しましょう。

また標準約款に記載されていない内容でも、売主が追記したい条件がある場合には、媒介系契約書にその旨記載することを国土交通省は推奨しています。

希望する条件がある場合には積極的に不動産会社に伝えるようにしましょう。

一般媒介契約書になっているか

媒介契約の種類には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。一般媒介契約書の契約形態になっているかを確認しましょう。

また、一般媒介契約には「明示型」と「非明示型」があります。

明示型の場合、複数の不動産会社に仲介の依頼をした際にはすべての不動産会社に対して、依頼している他の不動産会社の名前を通知しなければなりませんが、非明示型の場合通知の必要はありません。

標準約款では明示型にすることと規定がありますが、売主が希望する場合には非明示型にすることもできますので、明示型・非明示型どちらを希望するかも併せて不動産会社に伝えておくようにして下さい。

不動産の情報

不動産会社の広告活動は媒介契約書に記載された不動産情報を基に行われます。不動産情報が正確に記載されているか確認を行いましょう。

不動産会社の業務と義務

契約締結前に確認した不動産会社の宣伝活動について、再度確認を行っておきましょう。

また、一般媒介契約においては、契約外の不動産会社での売買は営業経費を払うことで可能となっています。

不動産会社を通さずご自身で購入希望者を見つけ売買を成立させることもできますので、その旨記載があるかも確認しておきましょう。

売却価格

売却価格は事前の査定を基に不動産会社と売主の間で話し合って決まります。事前の話し合い通りの売却価格かどうかも確認しておきましょう。

仲介手数料の金額と支払時期

契約締結前に確認した通りの仲介手数料となっているか念のために確認しておきましょう。また売却益から仲介手数料の支払いを考えている場合、支払時期によっては自己資金を利用して払わなければならなくなる可能性もありますので、支払時期も確認しておくと良いでしょう。

契約期間と更新について

一般媒介契約には、法令では契約期間の上限は設けられていませんが、標準約款では3ヵ月を超えてはいけないとしています。更新に関しても自動でされるものではなく売主の希望によって行われますので、その旨の記載があるかも確認して下さい。

売主の義務

標準約款においては、売主と不動産会社双方が誠実に契約を行うために売主に対しても義務を定めています。

売主に義務違反があった場合には仲介手数料を上限として違約金を請求されますので、売主の義務についても確認をしておきましょう。一般媒介契約における売主の義務は以下の通りです。

  1. 売買が成立した際には、仲介を依頼した不動産会社すべてにその旨を通知しなければならない
  2. 媒介契約期間中に買主との売買が成立しなかった場合、契約終了後2年間は媒介契約期間中に不動産会社から紹介のあった買主と売買契約を行うことはできない

媒介契約の解除について

契約期間中に不動産会社に不満がある場合には、以下の条件の場合契約を解除することが出来ます。

  1. 不動産会社が媒介契約に定められた義務・業務を誠実に行わない場合。
  2. 不動産会社が媒介契約において売主にとって重要な事実を告げなかった場合、もしくは事実とは異なる内容を告げた場合
  3. 不動産会社が宅地建物業に関して不正な行為を行った場合

反社会勢力の排除

不動産の売買において、暴力団などの反社会的勢力の排除を目的として、平成23年6月以降、媒介契約書に反社会勢力を排除するための条項を組み込むことが一般的になりつつあります。

不動産会社が反社会勢力と関係があった場合にはどのようなトラブルに巻き込まれるか分かりませんので、反社会勢力を排除する条項を契約内容に入れておく方が良いかと思います。

一般媒介契約の注意点

一般媒介契約にはたくさんの不動産会社と契約を行うことが出来るというメリットもありますが、注意点もありますので、ここで記載しておきます。

不動産会社に報告義務がない

専属専任媒介契約の場合、1週間に1度以上、専任媒介契約の場合は2週間に1度以上不動産会社は売主に対して、購入希望者からの問い合わせの状況などについて報告する義務がありますが、一般媒介契約の場合はそのような義務はありません。

ただし売主側から報告を求めることは可能ですので、活動内容等を知りたい場合は、こちらから不動産会社に対して連絡を取りましょう。

購入希望者に問題物件・不人気の物件であると誤解される可能性がある

一般媒介契約では複数の不動産会社に仲介の依頼をします。つまり複数の不動産会社によって広告宣伝が行われます。

そうすると同一の不動産情報が複数の不動産会社から出ている場合には、「多くの宣伝を行わなければ売却できない物件=問題物件・不人気物件」であると購入希望者に判断される可能性があります。

そのような判断をされた場合には購入希望者が現れず、売却まで長い期間がかかってしまうことも考えられます。

不動産会社が積極的に販売活動を行わない可能性がある

不動産会社の利益は仲介の手数料です。また宣伝活動のためにかかった費用は売買契約が成立しない限り売主に対して請求することはできません。

そのため一般媒介契約により複数の不動産会社に仲介の依頼をしていた場合、広告費を使って宣伝を行っても他社で成約すれば、その宣伝費は無駄になってしまいます。

そのため不動産によっては積極的に宣伝活動を行ってもらえない場合もあります。

どのような人が一般媒介契約に適しているのか

媒介契約は3種類があり、どの形態を選べば良いのか迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、ここではどのような人が一般媒介契約を選ぶべきかについて記載します。

一般媒介契約を選ぶべき人は、人気のエリアなどで、駅チカなどの超人気物件を保有している人です。

人気物件の場合であれば宣伝費などのコストをかけることなく購入希望者を見つけることが出来ます。

そのため人気物件の場合不動産会社は売買成立に向けて積極的に動きます。また複数の不動産会社に仲介を依頼することで、不動産会社の間で競争が高まり比較的早く売却することが可能となります。

もしご自身の所有する不動産が人気物件でない場合には、専属専任契約もしくは専任契約を結んだ方が良いでしょう。

まとめ

一般媒介契約書は媒介契約を行う際の不動産会社の業務や仲介手数料を決める重要な書類ですのでご自身にとって不利な条件がないか確認しておきましょう。

また媒介契約書は、ご自身にとって有利な条件を追加することもできますので、必要に応じて不動案会社に積極的に掛け合いましょう。

【関連記事】
専任媒介とは|契約形態や解約の注意点など基礎知識まとめ
専属専任媒介契約の基礎知識|専属専任媒介契約の特徴と注意点まとめ

 

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