マンションの売却では、何も問題が起こらずスムーズにいけばいいのですが、残念ながらトラブルに見舞われてしまうこともあります。

少し古いデータですが、2019年の不動産業統計集によると、2017年度(平成29年度)の仲介を通じた不動産売買のトラブル件数は以下の通りです。

項目 件数
重要事項説明等(重要事項の不告知) 151件
媒介に伴う書面の交付 42件
契約の解除 37件
報酬 32件
瑕疵問題 18件
預り金・申込証拠金等の返還 17件
手付金、中間金等の返還 11件
契約内容に係る書面の交付 7件
誇大広告等の禁止 5件

参考: 不動産業統計集2019|公益財団法人不動産流通推進センター

マンションの売却では多額のお金が動きますし、売却期間が長期にわたることもあるので、できるだけトラブルは未然に防ぎたいはずです。

そこでこの記事では、上記のよくあるトラブル事例について、具体的にどういったトラブル内容なのか、また事前にトラブルを回避するにはどうしたらよいのか、解説していきます。

売却前にトラブルに関する理解を深めておくことで、回避できる確率が上がり、もしトラブルに見舞われても冷静な対処ができるようになるはずです。

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マンション売却でよくあるトラブル6つ

ここでは、上で紹介した「不動産業統計集」に記載のある、よくあるトラブルについて、売り手に関係のある以下の6つについて見てみましょう。

  • 重要事項説明等(重要事項の不告知)
  • 媒介に伴う書面の交付
  • 契約の解除
  • 報酬
  • 瑕疵問題
  • 手付金・中間金等の返還

気をつけておかないと、いずれのトラブルに巻き込まれても面倒なことになってしまいます。十分な注意が必要です。

重要事項説明等(重要事項の不告知)のトラブル

重要事項説明とは、売買契約の成立前に、買い手に対して、「宅地建物取引士」がマンションの物件内容や契約条件などの重要事項について、口頭で説明することをいいます。これは、宅地建物取引業法第35条で定められている法律上の義務です。

法律で定められている重要事項の主な内容は次のようなものです。

  • 登記簿の記載内容
  • 飲用水・ガス、電気供給施設の設備状況
  • マンションの使用・管理に関する事項
  • 売却代金以外の金銭の受け渡し内容
  • 契約解除に関する条件や期限
  • 損害賠償額や違約金に関する事項
  • 手付金の事項 など

ただし、説明すべき内容は、これに限られているわけではありません。売り手を担当する不動産会社は、買い手が不利益を受ける可能性があり、その事実を買い手に通知していれば契約しなかったであろう事実を認識している場合には、買い手に説明する義務があると考えられています(宅地建物取引業法第47条)。

重要事項説明等のトラブルでよくあるのは、かっこ内に記載のある「重要事項の不告知」で、具体的には近隣とのトラブルや騒音問題を買い手に通知していないといったケースです。

契約を成立させるためにこういった事実を伝えない業者も存在していますが、売却後に買い手から損害賠償を請求されたり、契約が解除になってしまったりといったトラブルになりかねません。

媒介に伴う書面交付のトラブル

媒介に伴う書面交付のトラブルとして、次の2点が挙げられます。

  • 不動産会社に仲介を依頼し、すでに実務を開始しているにもかかわらず媒介契約書を交付していない
  • 売り手が媒介契約の内容を理解していない

1つ目の媒介契約書を交付していないケースとは、媒介契約書が締結されておらず、売り手が媒介契約の内容や報酬などについて理解していないまま、不動産会社が仲介の実務を執り行うといったトラブルです。

媒介契約が締結された場合、直ちに契約書を作成し、捺印後、売り手に交付することが宅地建物取引業法で定められています。しかし、民法では媒介契約書の締結は媒介契約を結ぶ要件に該当しません。売り手と不動産会社の双方の意思が合致していれば契約が成立する可能性があるからです。

媒介契約書を交付していないとしても、宅地建物取引業法違反として不動産会社が処分の対象にはなりますが、不動産会社から報酬を請求された場合には支払う義務が発生する可能性があるので注意が必要です。

2つ目の契約内容を把握していないケースとは、媒介契約書の内容を売り手が理解しておらず、発生しないと思っていた報酬や違約金が発生するといったトラブルです。

具体的には、「専属専任媒介契約で自己発見取引をした」「専任媒介契約や専属専任媒介契約を売り手都合で解除した」といったものが代表例でしょう。

専任媒介契約専属専任媒介契約は縛りが多くあるため、媒介契約を十分に理解しておかなければなりません。

契約解除のトラブル

契約解除のトラブルとは、買い手の都合で売買契約後にキャンセルとなってしまうことです。具体的には「売買契約後に親族から反対に遭うなどの理由で買い手から契約をキャンセルされた」もしくは「買い手の住宅ローン審査が通らずに契約が解除になってしまった」などです。

買い手の都合によって契約解除をする場合には「履行の着手があったとき」までと期限が設けられています

履行の着手について具体的な決まりはありませんが、一般的には「売り手が所有権移転登記申請を行ったとき」もしくは「買い手が中間金の支払いを行ったとき」のどちらかです。

履行の着手があったにもかかわらず、「買い手から契約解除の申し出があった」といった場合には、売却したい売り手と、契約解除したい買い手との間でトラブルになってしまうのです。

また、買い手の住宅ローン審査が通らずに契約解除をする場合でもトラブルになり得ます。通常は「ローン特約」といって、買い手の住宅ローン審査が通らなかった場合には解除できる旨を契約に盛り込んでおきますが、これにも期間を定めておくことが一般的です。

期限が過ぎたにも関わらず、ローン審査が通らなかった買い手から契約解除の申し出があると、トラブルとなってしまうのです。

報酬のトラブル

不動産会社に支払う報酬である「仲介手数料」は、基本的には売却が成功して初めて支払います。つまり、売却が成功しなかった場合には、それまでにかかった広告宣伝費等を支払う必要はありません

さらに、仲介手数料は宅地建物取引業法で上限が決められています。

しかし、残念ながら世の中には売り手の無知に便乗して、不正に報酬を請求してくる不動産会社もいないわけではありません。そういったときに、売り手と不動産会社との間でトラブルになってしまうのです。具体的には次のようなケースが挙げられます。

  • 売買契約が成立しなかったのに仲介手数料を請求された
  • 媒介契約の期間満了後に宣伝費を請求された
  • 仲介手数料とは別に宣伝広告費を請求された
  • 法律の上限以上の仲介手数料を請求された など

ただし、例外的に、売却が成功しなくても報酬を支払う必要があるケースもあるので注意が必要です。「本来なら行わない宣伝方法を売り手から依頼して実現した際の宣伝費」「専任媒介契約・専属専任媒介契約において、契約期間である3ヶ月を満たさずに売り手都合で契約を解除した際の宣伝費(ただし人件費は請求不可)」「専属専任媒介契約の期間中もしくは契約期間満了後2年以内に自己発見取引をした場合の仲介手数料」に関しては支払う必要があります

瑕疵担保責任のトラブル

瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)のトラブルとは、売却後に瑕疵が見つかり、補修や修繕にかかった費用を買い手から請求されてしまうというものです。

瑕疵(かし)とは、隠れた不具合のこと。シロアリ被害や雨漏り、排水管の腐食といったものが代表的な例でしょう。

一般的に、マンションに隠れた瑕疵(売り手が気づいていない瑕疵)が見つかった場合、一定期間(3ヶ月が一般的)は補修や修繕にかかった費用を買い手に対して支払わなければならないほか、契約の解除をされてしまうかもしれません。一方、売り手が把握していたのにもかかわらず瑕疵を告知しなかった場合には、期間を越えて損害賠償や契約解除の対象となってしまいます。

手付金・中間金等の返還のトラブル

契約解除の際には、買い手都合の場合は買い手が手付金を放棄し、売り手都合の場合は手付金の倍の金額を買い手に支払う契約になっていることが通常です。

このとき、買い手側が手付金の放棄を不服としてトラブルになってしまうこともあります。

手付金・中間金については売買契約書できちんと定められていることが通常なので、事例としてはあまり多くはありませんが(2017年度のトラブルは11件)、それでも発生していないわけではないので注意が必要です。

マンション売却のトラブルを避ける方法

マンションの売却でトラブルを抱えてしまうのは、売り手、買い手の双方が契約内容を理解していない場合や、宅地建物取引業法に詳しくなく、不当に金銭を請求されてしまうケースなどが代表的です。

ここからは、マンション売却でトラブルを回避する方法を確認してみましょう。事前に契約内容や法律を十分に確認・理解しておけば、トラブルを未然に防ぐことができるはずです。

重要事項説明のトラブルを避ける方法

重要事項説明のトラブルを避けるには、売却前に不動産会社に提出する「告知書」で、売り手が不利になるであろうことでも隠さずに通知しておくことが大切です。

告知書の記載内容は大きく分けると「土地関係」「建物関係」「その他」の3つですが、重要事項説明でトラブルとなってしまうのは、「その他」について十分に記載されていないケースです。

「近隣とのトラブルの有無」や「騒音の有無」など、売り手が気になっている点については漏れなく記載したうえで、提供した情報が漏れなく重要事項説明書に記載されているか確認しておきましょう。

もし、重要事項説明書に漏れなどを発見した場合には、直ちに不動産会社に連絡して修正してほしい旨を伝えるようにしてください。

媒介に伴う書面交付のトラブルを避ける方法

媒介契約に伴う書面交付のトラブルを避けるには、媒介契約を結ぶ意思が固まったら、直ちに不動産会社と媒介契約書を取り交わしておくことです。

また、契約自体の内容についても把握漏れがないよう、しっかりと読みこんでおくことが重要です。

媒介契約の種類には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「 専属専任媒介契約 」の3つがありますが、不動産会社と売り手が負う責任は少しずつ異なります。

双方が負うべき責任や、どういったときに費用が発生するかについて、十分に理解しておきましょう。

契約解除のトラブルを避ける方法

買い手の都合の契約解除、あるいは買い手がローン審査に通らなかったときの契約解除のトラブルを避けるためには、契約解除に関する取り決めを売買契約書に盛り込んでおきましょう

買い手都合での契約解除では、「買い手からの手付金を放棄することで契約解除ができる」旨を記載しておくだけでなく、解除が可能な期間(履行の着手があったときまで)に関しても具体的に書面に盛り込んでおくとよいでしょう。

買い手がローン審査に通らなかったときの契約解除に関するトラブルについては、住宅ローン特約」を契約に盛り込むことで対処しましょう。これは、住宅ローンの本審査が否決された場合、マンションの売買がなかったものとして白紙にできるものです。

ただ、住宅ローン特約も期限を決めておいたほうがよいでしょう。期限は売り手が自由に決定できますが、売買契約を締結してから1ヶ月と定めておくことが通常です。

報酬のトラブルを避ける方法

報酬のトラブルを避けるためには、法律で定められている仲介手数料の上限や、どういったときに支払わなければならないかを理解しておく必要があります。

宅地建物取引業法で決められている仲介手数料の上限は次の通りです。

売却価格 仲介手数料の上限
200万円以下 5%
200万超~400万円以下 4%+2万円
400万円超 3%+6万円

参考: 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額 (国土交通省)

また、すでにお伝えした通り、不動産会社が報酬を請求できるのは次のようなケースに限られています。

  • 売買契約が成立したときの仲介手数料
  • 本来なら行わない宣伝方法を売り手から依頼して実現した際の宣伝費
  • 専任媒介契約・専属専任媒介契約において、契約期間である3ヶ月を満たさずに売り手都合で契約を解除した際の宣伝費
  • 専属専任媒介契約の期間中もしくは契約期間満了後2年以内に自己発見取引をした場合の仲介手数料

これらに該当しないのに、不動産会社から宣伝費や人件費、仲介手数料などの請求があった場合には、宅地建物取引業法に違反している可能性が高いです。一切支払う必要はありませんので、不動産会社の請求に応じないようにしましょう。

断っているにもかかわらず請求を続けてくる場合には、後述する「自分でトラブルに対処できない場合の相談先」に記載のある業界団体などに相談するとよいでしょう。

瑕疵担保責任のトラブルを避ける方法

瑕疵担保責任のトラブルを避けるためには、売り手が把握している瑕疵については告知書にきちんと記載し、瑕疵担保責任に関する特約を契約書に盛り込んでおきましょう

具体的には、免責特約として「売却後に買い手がマンションに瑕疵を見つけたとしても、売り手に責任を負えない」旨を売買契約書に記載しておくことをおすすめします。

なお、買い手が納得せず、免責特約を盛り込めずに契約となって、後日に瑕疵が発見されたとしても、民事訴訟を通じて買い手が損害賠償を請求するには「売り手が瑕疵を知っていた」ことを買い手が証明しなければなりません。

そのため、裁判を通じて瑕疵担保責任を売り手が負うことはあまりありません。しかし、訴訟に対してあなた個人で対処するには困難なケースもありますので、弁護士など法律の専門家に相談することをおすすめします。

手付金・中間金等の返還のトラブルを避ける方法

手付金・中間金の返還を買い手が不服としていたとしても、原則的にその主張は認められません。契約解除の際には、買い手は手付金・中間金を放棄することが民法557条で定められているからです。

根拠法令があることを理由に、買い手に対して返還しないことを主張すれば問題はないでしょう。

自分でトラブルに対処できない場合の相談先

不当に金銭を請求されるなど、不動産会社とトラブルになった場合には業界団体に、契約書に条件などを記載しているにもかかわらず買い手とトラブルになった場合には弁護士など法律トラブルの専門家に相談するとよいでしょう。

業界団体や弁護士の相談先としては次のようなものがあります。

【業界団体の相談先】

【法律問題の相談先】

あなた自身での対処が難しい場合には相談してみましょう。

まとめ

マンション売却では大きなお金が動きますし、そもそも不慣れであることが普通なので、トラブルが発生すると精神的に大きな負担になりかねません

未然にトラブルを防ぐには、不動産会社との媒介契約、買い手との売買契約についてきちんと理解し、不利益を被らないよう必要事項を確認・記載しておくことが大切です。

また、すでにトラブルとなっていてあなた自身での対処が難しい場合には、業界団体や弁護士などに相談するとよいでしょう。

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